セカンドライフで予定されている今後の計画をご紹介します。
ビュアー
公式ビュアーでは、複数の機能が開発中です。
Performance Floater
セカンドライフビュアーのパフォーマンスの確認や設定の変更が可能な「Improve graphics speed」フローターが追加されたビュアーです。
「Graphics settings」では、ビュアーのグラフィック設定がどういう状態になっているかを確認&変更することができます。
「Avatar nearby」では、周りにいるアバターの描画の負荷が一覧で表示されます。表示が重い人がいるところではその人を描画しないように設定を変更するといったことがここで出来ます。

自分のアバターにこういった衣装やHUDを装着している場合、Your avatar complexity」と「Your active HUDs」では下記のように表示されます。
各項目を選択すると右側に「×」アイコンが出てきますので、その場で装着を外すことも出来ます。
Puppetry(旧Avatar Expressiveness)
Webカメラを使ってアバターの動きやジェスチャーを制御できるようになる仕組みが、現在開発中です。

体の動きだけでなく、顔の表情もアバターに反映できるそうです。
セカンドライフをVTuber的に使ったり、マニシマと呼ばれる映像作品の表現力向上に活用できたり、ビュアーだけでアニメーションアイテムの作成が出来る可能性もあるなど、応用範囲は広いと思われます。
また、ビュアーに内蔵されているLLSD Event API Plug-in (LEAP)を介すことで、Blenderなどの他のアプリケーションや入力機器からもアバターのボーンを制御できるようになります。
Puppetryは、現在プロジェクトビュアーが公開されています。
ベータグリッド(プレビューグリッド)の特定のSIMでのみ動作を確認することができます。
Muscadine
AnimeshをLSLでカスタマイズ出来るようにする機能が追加されます。
シェイプスライダーの値が、LSLで動的に変更出来るようになります。
現在は、担当者がARCTANの作業を優先にしているのとサーバー側の対応が遅れているため、Muscadine Viewerはプロジェクトビュアーから一旦取り下げられています。これは開発中止を意味する物ではなくて、準備が出来次第再開されるそうです。
以上のビュアーは、公式サイトのAlternate Viewersのページからリリース候補版やプロジェクトビュアーとして開発中の物を試すことが出来ます
下記の内容は、プロジェクトビュアー等としてはまだ用意されていない物ですが、リンデンラボの内部で準備中の物です。
物理ベースレンダリング(PBR)
セカンドライフビュアーを「物理ベースレンダリング(PBR)」に対応させるプロジェクトが、開始されました。
セカンドライフでのPBR対応は、下記の特徴があるそうです。
- PBRに対応した「マテリアルアセット」を追加
- PBRはglTF のテクスチャで設定(glTFファイルのアップロードに対応)
- リフレクションプローブサポート
- グローバルイルミネーションサポート
マテリアルでは、下記のテクスチャがサポートされるそうです。
- Albedo
- Occlusion/Roughness/Metalness(それぞれR/G/B各チャンネル)
- Emissive
- Normal
リフレクションプローブは下記の特徴があるそうです。
- プローブは、球または立方体のメッシュ/プリム/スカルプト
- 60fpsで30秒に1回更新
- プローブはSIMに無制限に置ける
- シーン全域とエリアごとの両方対応
- ビュアーで処理されるプローブの最大数は256個
- 一つのプローブの最大サイズは64m
- PBRを有効にすると、既存のコンテンツもリフレクションプローブの効果を受けられる
- すでに“レガシー”と呼ばれている現在の描画も使える
- プローブは装着アイテムとしては機能しない
現在はDiscordのチャンネルで、初期バージョンのクリエーター向けのテストが行われているそうです。
ある程度完成した段階で、ベータテストなどに移行されると思われます。
登場時期はまだ未定ですが、これが実現した場合はセカンドライフがUnityやUnreal Engineのような今風のグラフィックに進化します。
ビデオメモリの拡張
現在の公式ビュアーは、ビデオメモリは512MBまでしか利用出来ません。
このため、メッシュやテクスチャーが多いところに行くと、少ないメモリで画面の表示をおこなわないといけないため、テクスチャーの切り替えでパフォーマンスが低下したり、きれいに表示されたはずのテクスチャーがぼやけてしまうといった現象が起きてしまいます。
サードパーティー製ビュアーではこの部分を拡張して512MB以上のビデオメモリを利用可能にしているものがあります。
このソースコードが、リンデンラボに提供されたそうです。
リンデンラボもこの部分は公式ビュアーでも改善したいそうで、作業予定のリストに現在含まれているそうです。
必要なサイズのテクスチャをダウンロードする機能
テクスチャの表示の改善として、アップロードされて使用されているオリジナルのテクスチャをそのままダウンロードして表示するのではなくて、画面の表示に必要なサイズのみ同的にダウンロードされて表示される仕組みが現在開発されているそうです。
「テクスチャストリーミング」のような仕組みが導入されるのだと思われます。
これにより、テクスチャーの読み込みが早くなって、必要なビデオメモリも表示に必要な分だけになるというメリットがあると思います。
ただ欠点としては、カメラを急にズームさせるとかすると、そういうところは次の解像度のテクスチャーが読み込まれるまでは荒いテクスチャーが単純に拡大されたぼやけた状態になると思いますので、その辺がどこまで許容されるかでしょうね。
まあ今でも、テクスチャーの再読み込みでぼやけるってよくありますので、意外と気にならないかもしれないですし、その辺は出てきてからですね。
BVHアップロードの不具合修正
アニメーションを作成するためにBVHファイルをアップロードした際、BVHファイルの内部的な取り扱いの問題で、最初のフレームが3フレーム分確保されてしまい、そのうち2フレームが実際に表示されてしまうという不具合が長年あったそうです。
ループアニメーションで動きが一瞬止まってしまったり、アバターが浮いてしまうということがあると思いますが、その原因がこの部分だそうです。
この不具合の解決方法がようやく出来上がり、まもなくプロジェクトビュアーとして公開される見込みだそうです。
ただこの修正を行なった場合、新しい処理では最初のフレームは1フレーム分しか確保されず、余計な2フレームは削除されてしまうため、特にポーズスタンドのような1フレームしかアニメーションが無いケースでは作成するソフトによってはうまく動かなくなってしまうケースが想定されるそうです。
アニメーションを作成されている方は、プロジェクトビュアーが出た際には自分が作っている環境で今までと同様に作成できるかどうかを確認されたほうがいいそうです。
ちなみに今回の変更は、これまでにBVHファイルでアップされたアニメーションには影響はないそうです。
メッシュアバターのカスタムピボットポイント
メッシュアバターのカスタムピボットポイント機能のサポートが、現在サーバー側で進められているそうです。
完成予定時期はまだ未定だそうですが、メッシュアップロード時とLSL経由でカスタムピボットポイントが設定出来るようになるそうです。
グラフィック改良(UI)
現在のセカンドライフ公式ビュアーは、3Dシーンの描画の際毎フレームビュアーのUIも描画を行なっているそうです。これは少なからず3Dシーンを表示する際の負荷に影響があるそうで、現在3D描画からのUIの描画の分離の作業が始まったそうです。
この改良により、3D側の描画処理の変更無しに描画の負荷が軽減される可能性があります。
ARCTAN
ビュアーの描画コストを全面的に見直すプロジェクトです。
- アバターのレンダリングコストの再見直し
- Rezされたオブジェクトにもアバターのレンダリングコストと同等の評価を導入
- 描画の負荷を意識した、ランドインパクト(LI)の見直し
- LODを適切に使用していないものは、描画コストにペナルティを加える(低LODにもハイポリゴンのモデルを設定している場合など)
といった感じのものが検討されています。
Jelly Dollsの改善が終わりましたので、次は下記の項目が予定されています。
- アバターのレンダリングコスト(ARC)をユーザーに提示する方法を改善
- UIでのパフォーマンス調整機能の改善
グラフィック改良(macOS)
macOS 10.14 Mojave以降、OpenGLは非推奨になっています。
そのためリンデンラボでは、セカンドライフビュアーのMetalへの移行を現在検討中です。
この対応が行なわれた場合、Metal非対応のMacではセカンドライフビュアーは動作しなくなる可能性があります。
グラフィック改良(Windows)
macOSでのMetal移行が完了した段階で、Windowsもグラフィック周りの改良が行なわれるそうです。
ARM Mac(Appleシリコン)対応
ARM CPU(Appleシリコン)を搭載したMacでもセカンドライフ公式ビュアーを使用出来るようにするための調査が行われています。
モバイル版ビュアー
昨年まで開発されていたモバイル用のコンパニオンアプリは、テストの段階でのユーザーからの評判が芳しくなかったため、昨年10月で開発終了となってしまいました。
そのかわり、“セカンドライフビュアー”として機能するモバイル用アプリの開発が新たに行われることとなりました。
モバイルビュアーでどこまでの機能がサポートされるかや、それが何時ごろ登場するかはまだ未定です。
2022年のロードマップには含まれていますので、年内に何らかの発表があると思われます。
ビュアーも、今後もさまざまな機能追加や改良が予定されています。
プレミアムアカウント
プレミアムアカウントの価格の見直しが行われるそうです。プレミアムアカウントの廉価版が登場する可能性があるそうです。これにより、メインランドの土地を購入したいと思う人を増やしたいそうです。
土地
メインランド
メインランドのTier(価格帯)が見直されるそうです。Tierの価格差を小さくすることで、メインランドの土地を購入したいと思う人を増やしたいそうです。
ホームステッド
ホームステッドはこれまで、フルリージョンを所有している人しか購入することはできませんでした。これを変更して、プレミアムプラスアカウントのユーザーであれば直接ホームステッドを購入できるように変更するそうです。(ホームステッドの費用は別途かかります)
新アバター

下記の特徴を持った、新しいアバターが開発されているそうです。
- 全てのスターターアバターをメッシュアバターに置き換え
- ボディーのメッシュは、頭からつま先までオールインワン
- Bentoスケルトンとスライダー対応
- Bakes on Mesh対応
- 新しいAO
着替えが複雑な既存のクラシックアバターとメッシュの組み合わせを置き換えて、今風の着替えができる環境を標準で用意するためのものだそうです。
デフォルトのアバターがメッシュアバターになるという意味ですが、市販されているような製品までの機能は用意されていないそうです。あくまでも、入門用という位置付けになるそうです。
入門用と言っても、SL19Bで発表されたプレビュー版の段階のアバターでもかなり高品質なものになっています。
スターターアバター選択時には、下記の項目で分けられた中からアバターを選べるそうです。
- 衣装
- 見た目
- 民族
全てが可能な限り、ユニセックスになるそうです。
新しいアバターは、インベントリのシステムライブラリからも利用可能になります。
クリエーターが新アバター向けの服やアクセサリーなどを作れるように、開発キットが提供されるそうです。
新アバターのリリース時期は、まだ未定です。
Welcome Island
セカンドライフを始めた際に訪れるチュートリアルのSIMを改善したもののテストが、現在行われているそうです。主な変更点は下記の通りです。
- 新しいガイドブックでのチュートリアル
- Animeshを使ったデフォルトアバターの展示



新しいWelcome Islandには新規のユーザーしか行くことができませんが、その内容に興味がある既存のユーザーのためにWelcome Back Island SIMが用意されています。気になる方はこちらに行ってみてください
行き先ガイド
見た目などの改善が現在行われています。
マーケットプレイス
商品に、色などの“バリエーション”の概念を持たせる仕組みが準備中だそうです。
この機能は、秋くらいに導入されそうな雰囲気だそうです。
また2023年には、一から再構築された全く新しいマーケットプレイスが登場する予定です。
CasperTech
長年多くのユーザーから利用されていたベンダーサービスを運営していたCasperTechの製品が、リンデンラボに買収されました。
これにより、CasperVendなどの製品はセカンドライフのサービスの一部として取り込まれていきます。
具体的には、下記のような内容が予定されているそうです。
- マーケットプレイスとの統合
- 新しいベンダーの導入
- インワールドで購入したものもリデリバリーなどの機能をサポートする(まだアイデアレベル)
セカンドライフで弱かった部分が、一気に補強されることになりそうです。
お店をされている方にも、利用者の方にも、どちらにも大きなメリットがある変化になりそうな感じです。
LSL – Linkset Data
プリムのリンクセット(リンクで結合されたオブジェクト)のルートに、LSLで使用できるデータを保存できる仕組み「Linkset Data」が現在開発中です。
Linkset Dataはキーバリュー形式のデータで、64KBのデータを保存できます。
連想配列タイプの簡易データーベースがLSL(プリム)の機能として追加されるイメージです。
これにより、ゲームやHUDの設定などのデータの保存のために、Webサーバーなどの仕組みを別途用意しなくてよくなります。
Linkset Dataは現在、ベータグリッドの一部のSIMで試すことができます。