セカンドライフで予定されている今後の計画をご紹介します。
この記事の目次
ビュアー
公式ビュアーでは、複数の機能が開発中です。
物理ベースレンダリング(PBR)
セカンドライフビュアーを「物理ベースレンダリング(PBR)」に対応させるプロジェクトです。
セカンドライフでのPBR対応は、下記の特徴があるそうです。
- PBRに対応した「マテリアルアセット」を追加
- PBRはglTF のテクスチャで設定(glTFファイルのアップロードに対応)
- リフレクションプローブサポート
- グローバルイルミネーションサポート
マテリアルでは、下記のテクスチャがサポートされるそうです。
- Albedo
- Occlusion/Roughness/Metalness(それぞれR/G/B各チャンネル)
- Emissive
- Normal
リフレクションプローブは下記の特徴があるそうです。
- プローブは、球または立方体のメッシュ/プリム/スカルプト
- 60fpsで30秒に1回更新
- プローブはSIMに無制限に置ける
- シーン全域とエリアごとの両方対応
- ビュアーで処理されるプローブの最大数は256個
- 一つのプローブの最大サイズは64m
- PBRを有効にすると、既存のコンテンツもリフレクションプローブの効果を受けられる
- すでに“レガシー”と呼ばれている現在の描画も使える
- プローブは装着アイテムとしては機能しない
現在は、ビュアーはリリース候補版の段階に来ています。
サーバー側は、現在ベータグリッドのみ対応しています。メイングリッドへの導入は準備中です。
メイングリッドへの導入後、数ヶ月間はリリース候補版の状態が維持されるそうです。
地形テクスチャのPBR対応
セカンドライフ標準の地形で使用されているテクスチャをPBR対応させる作業が進行中だそうです。
地形テクスチャがPBRに対応すると、ノーマルマップやメタリックマップなどが使用出来るようになりますので、細かい石で凸凹している地形や、金属や氷でテカテカしている地形などの表現がメッシュを使わずにテクスチャだけで出来るようになるはずです。
ビデオメモリの拡張
現在の公式ビュアーは、ビデオメモリは512MBまでしか利用出来ません。
このため、メッシュやテクスチャーが多いところに行くと、少ないメモリで画面の表示をおこなわないといけないため、テクスチャーの切り替えでパフォーマンスが低下したり、きれいに表示されたはずのテクスチャーがぼやけてしまうといった現象が起きてしまいます。
サードパーティー製ビュアーではこの部分を拡張して512MB以上のビデオメモリを利用可能にしているものがあります。このソースコードがリンデンラボに提供され、PBRビュアーに導入されました。
Puppetry(旧Avatar Expressiveness)
Webカメラを使ってアバターの動きやジェスチャーを制御できるようになる仕組みが、現在開発中です。

体の動きだけでなく、顔の表情もアバターに反映できるそうです。
セカンドライフをVTuber的に使ったり、マニシマと呼ばれる映像作品の表現力向上に活用できたり、ビュアーだけでアニメーションアイテムの作成が出来る可能性もあるなど、応用範囲は広いと思われます。
また、ビュアーに内蔵されているLLSD Event API Plug-in (LEAP)を介すことで、Blenderなどの他のアプリケーションや入力機器(ゲームコントローラー、VRコントローラー、Leap Motionなど)からもアバターのボーンを制御できるようになります。
Puppetryは、現在プロジェクトビュアーが公開されています。
ベータグリッド(プレビューグリッド)の特定のSIMでのみ動作を確認することができます。
FBXアニメーションの読み込みとMixamoスケルトン対応
Puppetryでのアニメーション周りの見直しの一環として、FBXアニメーションの読み込みをサポートして、Mixamoスケルトンのアニメーションを使えるようにする(リターゲット)そうです。
これにより、セカンドライフ用に作られていないアニメーションでも、Mixamoスケルトン準拠のものであればそのままインポート出来ることになります。
Muscadine
AnimeshをLSLでカスタマイズ出来るようにする機能が追加されます。
シェイプスライダーの値が、LSLで動的に変更出来るようになります。
現在は、担当者がARCTANの作業を優先にしているのとサーバー側の対応が遅れているため、Muscadine Viewerはプロジェクトビュアーから一旦取り下げられています。これは開発中止を意味する物ではなくて、準備が出来次第再開されるそうです。
以上のビュアーは、公式サイトのAlternate Viewersのページからリリース候補版やプロジェクトビュアーとして開発中の物を試すことが出来ます
下記の内容は、プロジェクトビュアー等としてはまだ用意されていない物ですが、リンデンラボの内部で準備中の物です。
必要なサイズのテクスチャをダウンロードする機能
テクスチャの表示の改善として、アップロードされて使用されているオリジナルのテクスチャをそのままダウンロードして表示するのではなくて、画面の表示に必要なサイズのみ同的にダウンロードされて表示される仕組みが現在開発されているそうです。
「テクスチャストリーミング」のような仕組みが導入されるのだと思われます。
これにより、テクスチャーの読み込みが早くなって、必要なビデオメモリも表示に必要な分だけになるというメリットがあると思います。
ただ欠点としては、カメラを急にズームさせるとかすると、そういうところは次の解像度のテクスチャーが読み込まれるまでは荒いテクスチャーが単純に拡大されたぼやけた状態になると思いますので、その辺がどこまで許容されるかでしょうね。
まあ今でも、テクスチャーの再読み込みでぼやけるってよくありますので、意外と気にならないかもしれないですし、その辺は出てきてからですね。
メッシュアバターのカスタムピボットポイント
メッシュアバターのカスタムピボットポイント機能のサポートが、現在サーバー側で進められているそうです。
完成予定時期はまだ未定だそうですが、メッシュアップロード時とLSL経由でカスタムピボットポイントが設定出来るようになるそうです。
グラフィック改良(UI)
現在のセカンドライフ公式ビュアーは、3Dシーンの描画の際毎フレームビュアーのUIも描画を行なっているそうです。これは少なからず3Dシーンを表示する際の負荷に影響があるそうで、現在3D描画からのUIの描画の分離の作業が始まったそうです。
この改良により、3D側の描画処理の変更無しに描画の負荷が軽減される可能性があります。
ARCTAN
ビュアーの描画コストを全面的に見直すプロジェクトです。
- アバターのレンダリングコストの再見直し
- Rezされたオブジェクトにもアバターのレンダリングコストと同等の評価を導入
- 描画の負荷を意識した、ランドインパクト(LI)の見直し
- LODを適切に使用していないものは、描画コストにペナルティを加える(低LODにもハイポリゴンのモデルを設定している場合など)
といった感じのものが検討されています。
Jelly Dollsの改善が終わりましたので、次は下記の項目が予定されています。
- アバターのレンダリングコスト(ARC)をユーザーに提示する方法を改善
- UIでのパフォーマンス調整機能の改善
グラフィックスAPIの変更
セカンドライフビュアーは現在OpenGLが使用されていますが、これを後継のVulkanへ移行することが発表されました。
Vulkanに移行することで描画が最適化され、ビュアーの表示が軽くなることが期待出来るそうです。
また、最新のグラフィック機能に対応することが可能になりますので、これまでに無い表現が出来るようになるそうです。
Vulkanへの移行は、2023年後半から開始される予定です。
ARM Mac(Appleシリコン)対応
ARM CPU(Appleシリコン)を搭載したMacでもセカンドライフ公式ビュアーを使用出来るようにするための調査が行われています。
インベントリにサムネイル機能
セカンドライフ公式ビュアーのインベントリに、サムネイル機能が追加されるそうです。
アイテムはもちろん、フォルダに対してもサムネイルを付加することが可能になるそうです。
インベントリのサムネイル機能は、現在開発中です。
絵文字表示対応
セカンドライフ公式ビュアーでは、公式にはまだ絵文字の表示には対応していません。
Windowsではフォントの関係で表示出来ることもありますが、Macでは今のところ絵文字は表示されず「□」のような表示になってしまいます。
これを改善するため、現在絵文字の表示をきちんとした形で行えるように改良が行われているそうです。
モバイル版ビュアー
2023年3月、リンデンラボは新しいモバイル版ビュアーのプロジェクトを発表しました。
新しく発表されたモバイル版ビュアーは、ゲームエンジンのUnityで開発されているアプリです。
Unityを使用することで、パソコン版のビュアーと同等の見た目をモバイル環境で実現出来るそうです。
今回のアプリ版は、昨年10月から開発が行われているそうです。
モバイル版ビュアーは、2023年後半に機能制限版のベータ版が公開される予定です。
iOSとAndroidに対応していて、タブレットはもちろんスマートフォンでも動作するそうです。
なお、どの程度のスペックの環境で動作するかはまだ不明です。
モバイル版ビュアーはUnityで開発されていますが、パソコン版のビュアーは従来通りのビュアーのままで開発が継続されるそうです。
ビュアーも、今後もさまざまな機能追加や改良が予定されています。
新アバター

下記の特徴を持った、新しいアバターが開発されているそうです。
- 全てのスターターアバターをメッシュアバターに置き換え
- ボディーのメッシュは、頭からつま先までオールインワン
- Bentoスケルトンとスライダー対応
- Bakes on Mesh対応
- 新しいAO
着替えが複雑な既存のクラシックアバターとメッシュの組み合わせを置き換えて、今風の着替えができる環境を標準で用意するためのものだそうです。
デフォルトのアバターがメッシュアバターになるという意味ですが、市販されているような製品までの機能は用意されていないそうです。あくまでも、入門用という位置付けになるそうです。
入門用と言っても、SL19Bで発表されたプレビュー版の段階のアバターでもかなり高品質なものになっています。
スターターアバター選択時には、下記の項目で分けられた中からアバターを選べるそうです。
- 衣装
- 見た目
- 民族
全てが可能な限り、ユニセックスになるそうです。
新しいアバターは、インベントリのシステムライブラリからも利用可能になります。
クリエーターが新アバター向けの服やアクセサリーなどを作れるように、開発キットが提供されるそうです。
新アバターのリリース時期は、まだ未定です。
マーケットプレイス
商品に、色などの“バリエーション”の概念を持たせる仕組みが準備中だそうです。
この機能は、秋くらいに導入されそうな雰囲気だそうです。
また2023年には、一から再構築された全く新しいマーケットプレイスが登場する予定です。
CasperTech
長年多くのユーザーから利用されていたベンダーサービスを運営していたCasperTechの製品が、リンデンラボに買収されました。
これにより、CasperVendなどの製品はセカンドライフのサービスの一部として取り込まれていきます。
具体的には、下記のような内容が予定されているそうです。
- マーケットプレイスとの統合
- 新しいベンダーの導入
- インワールドで購入したものもリデリバリーなどの機能をサポートする(まだアイデアレベル)
セカンドライフで弱かった部分が、一気に補強されることになりそうです。
お店をされている方にも、利用者の方にも、どちらにも大きなメリットがある変化になりそうな感じです。
体験(Experience)
Experienceのキーバリューデータベースを、土地から切り離して他の場所でも利用出来るようにする作業が行われているそうです。